背景
通信と放送の融合についての先進国であるアメリカでは、ペイTV(CATV+衛星+IPTV+vMVPD)の市場規模が縮小を続けています。
この根本的な原因として、そもそもリニアで見たいコンテンツは、それほど多くないということが考えられます(見たいコンテンツとしては、スポーツやイベント、あとは、サイネージ的なながら見ぐらいだと考えられる)。一方のVoDについては、米国ではまだ直線的に拡大しています。
つまり、放送は、技術的な制約(昔、マスに対してコンテンツを届けるには電波による同時送信しかなかった)のため大きなシェアを占めていただけで、通信によるオンデマンド視聴が可能なら、人間はオンデマンドの方を好むというのが市場規模の移動という形で出ていると思われます。
NHKについて
NHKは、ペイTVの一種であると言えます。そして、上記米国の状況を考えると、以下のような提言が生まれます:
- ペイTVのマーケットが縮小しているのだから、NHKの受信料金は下げ続けるべき
- オンデマンド視聴であるNHKアーカイブスをNHKの本来業務にし、NHK受信料金のみで見放題にすべき(これをやるなら料金はそのままで良い)
また、ペイTVの市場規模を日米で比較すると新しい視点も出てきます。まず、それぞれのペイTV市場規模は以下です:
- 日本:約1.1兆円
- 米国:約7.3兆円(524億ドル、日本の6.6倍)
日米の国力(GDP)比率は、(円安も考えると)1:6ぐらいであり、日米の市場規模比率は妥当性のある感じになっています。
ただし、国内ペイTVの内訳は以下です:
- NHK: 6,604億円
- CATV⁺スカパー:4,500億円
つまり、日米市場規模という視点で見ると、NHKがCATVの民業を圧迫しているという図式になります。
一方、テレビ広告市場については、以下のような市場規模になります:
- 日本:約1.8兆円
- 米国:約9.2兆円(670億ドル、日本の5.1倍)
テレビ広告に関しては日本のマーケットの方が元気です。
市場規模からみると、本来なら民放よりもCATV業界の方がNHKを突き上げるべきです。しかし、CATVはNHKの料金徴収代行も行っており、微妙な関係なのかと想像します。