さまざまなデータを元に、国内メディアの10年先を予測します。
定量的予測
リニア(放送等)媒体への接触時間(1日あたり)
- 現状:102.9分⇒10年後:50分
- 現状:102.9分
- 博報堂メディア定点調査2024におけるTV接触時間(122.5分)からTVにおけるネットサービス接触割合(筆者推定:16%)を引いたもの
- 10年後:50分
- 筆者予想。コロナ以降、テレビ接触時間は毎年平均約9分減少。また、TVにおけるネットコンテンツ視聴も増えると思われる。しかし、日本はブロードバント不使用世帯が多いため現状の半分程度になると予想
- 参考:国内ネット普及率 (https://www.kosho.org/blog/net/penetration2024/)
- ネット利用率:86.2%
- ブロードバンド利用率:82.9%
- 現状:102.9分
TVデバイスにおけるネットコンテンツ視聴
- 現状:16%⇒10年後:50%
- 現状:16%
- 以下の2つのデータから筆者推測(63.5%*26%)
- メディア定点調査2024
- 「テレビ受像機をインターネットに接続している」割合:63.5%
- コネクティッドTV白書2024
- ネット系サービス(YouTube、Amazon Prime、TVer等)合算の割合:26%
- メディア定点調査2024
- 以下の2つのデータから筆者推測(63.5%*26%)
- 10年後:50%
- 筆者予想。
- 現状:16%
- 補足:Nilsen the Gaugeによると、米国(2024年10月)では、すでにTVデバイスの40.5%がネットコンテンツ
ネットデバイスへの接触時間
- 現状:268.5分⇒10年後:328.5分
- 現状:268.5分
- メディア定点調査からネット系デバイスへの接触時間を足し合わせたもの
- 10年後:328.5分
- 筆者予想。テレビ接触時間の約半分(60分)がネット系デバイスへ移行すると予想
- 現状:268.5分
- 補足:YouTubeのポジション
- 現状:平均同時接続数300万程度
- 筆者試算。これはNHKの全国同時接続数の約半分に相当する
- 10年後:平均同時接続数600万程度
- 筆者予測。これは現状のNHK全国同時接続数と同レベルであるが、10年後にNHK接触時間は現状よりも減少していると考えられる。つまり、10年後にはYouTubeがNo1の動画メディアになっている。
- 補足:米国におけるYouTube
- Nielsen the Gaugeによると、米国ではTVにおける接触時間だけを見てもYouTubeが地上波チャンネル等を抜いてトップである。これにPCやスマホによるYouTube接触時間が足しこまれるため、すでに米国ではYouTubeがNo1接触時間の動画メディアとなっている。
- 現状:平均同時接続数300万程度
ネットトラフィック
- 現状:32.5Tbps⇒10年後:47.5Tbps
- 現状:32.5Tbps
- 総務省、我が国のインターネットにおけるトラヒックの集計・試算(2023年11月)
- 10年後:47.5Tbps
- 筆者予測。詳細は以下
- 現状:32.5Tbps
放送広告市場
- 現状:1.7兆円⇒10年後:0.85兆円
- 現状:1.7兆円
- 電通日本の広告費2023
- 10年後:0.85兆円
- 筆者予想。放送媒体への接触時間が現状の半分程度になれば、広告市場も半分になると予想。
- 現状:1.7兆円
ネット動画広告市場
- 現状:6,253億円⇒10年後:1.4兆円
- 現状:6,253億円
- サイバーエージェント動画広告市場規模推計
- 4年後:10,228億円
- サイバーエージェント動画広告市場規模推計
- 10年後:1.4兆円
- 各サービス別予想(筆者直観)
- インストリーム:3,053億円⇒8,000億円
- Youtube: 2,000億円⇒4,000億円
- BVoD:300億円⇒2,000億円
- SVoDの広告収入:?億円⇒2,000億円
- インストリーム以外:4,000億円⇒6,000億円
- インストリーム:3,053億円⇒8,000億円
- 各サービス別予想(筆者直観)
- 現状:6,253億円
- 補足:米国の状況
- IAB Digital Video Ad Spend & Strategy Reportによると、米国における動画広告市場の内訳は以下
- 旧テレビ:52%
- デジタル動画:48%
- CTV(インストリーム):18%
- ソーシャル:17%
- その他:13%
- IAB Digital Video Ad Spend & Strategy Reportによると、米国における動画広告市場の内訳は以下
有料動画市場
- 現状:5,991億円⇒10年後:7,000億円
- 現状:5,991億円
- 日本映像ソフト協会
- 10年後:8,000億円
- 筆者予想。国内については、現状、頭打ち感のあるマーケットである。しかし、国内でも今後マルチチャンネルサービスの解約(いわゆるコードカット)が進むと思われ、有料動画(SVoD)が再加速する可能性が高い。
- 現状:5,991億円
有料マルチチャンネルサービス
CATVのビデオサービス
- 現状:3,079世帯(契約)⇒10年後:2,400世帯(契約)
- 現状:3,079世帯(契約)
- 総務省調査
- 10年後:2,500世帯(契約)
- 筆者予想。2割程度は契約数が減少すると予測。
- 現状:3,079世帯(契約)
- 補足
- 米国の状況(MVPD):過去5年で24%減少(契約数)
- 国内衛星・IPTVの状況:過去8年で11%減少(契約数)
定性的予想
アドレサブル動画広告
- 現状:基本属性⇒10年後:購入披瀝等の活用が本格化
- 現状:YouTubeは検索披瀝や基本属性をベースに広告を出している
- 10年後:ECサイトなどの購入披瀝をベースにした広告が本格化すると予想
参考文献
- 映像メディアのトレンド2024
- OTTのトレンド2024 (JaSEG only)
- メディア定点調査
- Nielsen the gauge
- サイバーエージェント、動画広告市場規模推計
- IAB Digital Video Ad Spend & Strategy Report