インターネット黎明期(2000年ごろ)、世界を取れるかと思われた日本のネットワーク産業ですが、結局、毎年グローバルなポジションを落し続け、世界10位以下まで落ちている感じがします。
今回、ネットワークに関する日本のランキング(順位)に関するいろいろな指標を集めてみたいと思います。これ以外に良い指標があればご連絡ください(それぞれの指標について、日本、米国、中国、韓国のランクを抽出しています)。
- ネット普及率:38位(米:22位、中:43位、韓:8位)
- 5G普及率:16位(米:10位、中:9位、韓:8位)
- IPv6普及率:11位(米:14位、中:42位、韓:70位)
- 固定網速度:16位(米:5位、中:9位、韓:4位)
- モバイル網速度:58位(米:13位、中:9位、韓:4位)
- RFC著者:10位(米:1位、中:2位、韓:8位)
これを受けてエンジニアが何をすべきか?については続編「日本のインターネット:再生へのアプローチ」で
普及率
インターネット普及率
コメント:日本のインターネット普及率は38位(82.9%)と、かなり悪い状況です。
- 日本:38位(82.9%)、米国:22位(91.8%)、中国:43位(73.7%)、韓国:8位(97.6%)
- Datareportal
5G普及率
コメント:米国、中国、韓国は上位10位以内ですが、日本は16位と差が付いています。
- 日本:16位(47%)、米国:10位(54%)、中国:9位(55%)、韓国:8位(56%)
IPv6普及率(クライアント側)
コメント:日本は11位と、米国、中国、韓国に比べ頑張っています
- 日本:11位(59.17%)、米国:14位(55.48%)、中国:42位(37.65%)、韓国:70位(22.00%)
- APNIC
- 日本:11位(52.9%)、米国:13位(52.1%)、中国:51位(26.3%)、韓国:71位(19.6%)
速度
固定網ダウンロード速度
コメント:日本は韓国には勝っていますが、米国、中国には負けています。
- 日本:16位(194.05Mbps)、米国:5位(243.10Mbps)、中国:11位(207.66Mbps)、韓国:28位(157.72Mbps)
- SpeedTest
モバイル網ダウンロード速度
コメント:日本は4か国で最下位(58位)、かつ平均速度も他の国の半分以下。かなりダメ。
- 日本:58位(46.70Mbps)、米国:13位(105.03Mbps)、中国:9位(122.79Mbps)、韓国:4位(139.38Mbps)
- SpeedTest
R&D
Internet-Draft and RFC著者の国籍
コメント:日本は4か国で最下位、かつ、米国および中国の1/10以下。設備面のみならず、技術面でもグローバルな存在感が薄い
- 日本:10位(70名)、米国:1位(851名)、中国:2位(775名)、韓国:8位(95名)
- IETF
- 2024
- https://datatracker.ietf.org/stats/document/author/country/?time=5y
- 補足:ドキュメントが複数著者の場合はそれぞれを数え上げる。過去5年
- https://www.arkko.com/tools/recrfcstats/d-countrydistr.html
- IETF
IETF working Groups議長の国籍
ランキングは調査中
- 日本人議長率
- 1.5% (日本人議長4名、総議長数約260人(125WG))
料金・市場
通信系企業の売上
コメント:日本のGDPは世界3位の規模であり、国内通信企業はその通信内需を担っているため売り上げは大きい。これを逆に言うと、日本のネットインフラは他国並みに高いが、質は低いということになる
- NTT:7位(13.54B$)
- KDDI:9位(6.89B$)
- Softbank:48位(0.84B$)
ソース:https://companiesmarketcap.com/telecommunication/most-profitable-telecommunication-companies/
終わりに
全体的にぱっとしない結果で、やはり日本のネットインフラ産業はグローバルで見ると2流という結論です。私も含めて日本のネットインフラ関係者は、他の国内インフラ産業(土木、鉄道等)のように、海外から技術協力を求められるような産業を作り出す必要があると思います。
補足
総務省調査
2005、2008、2009年については「ICTインフラに関する国際比較調査」、2009~2011年には「情報通信白書(ICT基盤に関する国際比較調査)」として調査を行っている。
ICTインフラに関する国際比較調査
- H17(2005)
- H20(2008)
- H21(2009)
情報通信白書
「ICT基盤に関する国際比較調査」を再掲している。これに含まれる基準は以下:
- ICT総合進展度
- 以下のICT利活用、ICT基盤(普及)、ICT基盤(整備)の総合
- ICT利活用
- 個人の利活用
- 個人インターネット利用率
- 企業の利活用
- 企業インターネット利用率
- 政府の利活用
- 国民向けサービス充実度
- 行政内部効率化貢献度
- 個人の利活用
- ICT基盤(整備)
- 先進性
- 固定ブロードバンド最高速度
- 第3世代携帯比率
- 安定性
- 固定ブロードバンド品質
- 安全なサーバ数
- 許容性
- インターネットホスト数
- 光ファイバ比率
- 先進性
- ICT基盤(普及)
- 固定ネット普及
- インターネット世帯普及率
- 固定ブロードバンド普及率
- 固定ブロードバンド料金
- モバイル環境普及
- 携帯電話普及率
- モバイルBB普及率
- 携帯電話料金
- 固定ネット普及
- H21(2009)
- ICT基盤に関する国際比較調査(2011)を再掲
- 日本
- ICT総合進展度:3位
- ICT基盤(整備):1位
- ICT基盤(普及):12位
- ICT利活用:16位
- https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/h21/html/l2221000.html
- H22(2010)
- 日本
- ICT総合進展度:2位
- ICT基盤(整備):1位
- ICT基盤(普及):8位
- ICT利活用:16位
- https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/h22/html/md113100.html
- 日本
- H23(2011)
- 日本
- ICT総合進展度:3位
- ICT基盤(整備):1位
- ICT基盤(普及):12位
- ICT利活用:18位
- https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/h23/html/nc211200.html
- 日本